黄斑円孔入院記(7)

黄斑円孔

出産以外は入院経験のなかった、50代会社員事務職が
オウハンエンコウという眼の病気にかかった時の話です。
入院生活もろもろの話。

入院生活

手術後2日たって、シャワーが解禁になりました。洗顔はNGですが、首から下は温かいお湯で体をさっぱりさせることが出来ます。うつぶせ、うつむき生活で首の後ろがバッキバキなので、シップを貼ってもらっています。ベッドの端にこしかけてうつむいてスマホを見たり読書するのも限界が近づいています。とはいえ、うつぶせに横たわっても顔とスマホ・本の距離が近すぎてピントが合わず、結局「あー」と腹ばいになったままうたた寝し、息苦しくて目が覚める・・・の繰り返し。夜も3時間ぐらいおきに目が覚めてしまいます。

左眼のガスは、手術翌日はまだ充満していて、そのために視界も水中から見たようなぼやぼやだったのですが、手術後4日経ったころには50%ぐらい抜けたということでした。視界は、完全に水中から見た景色から、上部1/3ぐらいのところに水面があるような景色に徐々に変わってきました。主治医の先生曰く「もう少しガスが抜けないと、はがれかけた網膜部分が治っているかの判断はできない」ということでしたが、「うつぶせの効果は出ているので引き続き頑張ってください」とのこと。はーい、がんばりますぅ・・・実は、あまりに腰も肩もバキバキなので、ちょっとうつ伏せもさぼっていたり、どうしてもコーヒーが飲みたくて、外来エリアにあるコーヒーショップでテイクアウトしたり、と、調子こいて病院内をうろうろすることが増えたのですが、その時期に同じ病棟におられる、かつ自分よりも前に手術をされた方が「うまくいかなくて入院が1週間延びた」という内容をつぶやいていたのを、診察室に並んでいるときに聞くともなく聞いてしまい、そこからあわてて「うつ伏せしなきゃ!」というモードになって、俄然従順に、心を入れ替えてうつぶせ修行をしていたのでした。

うつぶせ修行生活で、前述のように読書もうまくできなかったので、ちょうど「入会初月無料」だったAmazon Audibleに登録してみました。話題の本が朗読されている音源を購入できるというものです。小説と、自己啓発本的なものをお試し無料購入して、聞いてみました。結果、わりとすんなり寝落ちできる(笑)内容はあまり頭に入ってこないけど。

さて、そんな生活を患者がのんべんだらりと過ごしている一方、看護師さんは常に何かしらどこかしらでなっている電子音に呼ばれるように忙しそうに働いておられます。お医者さんはいわゆる「治療」の主導者ですが、今の私のように治療をひと段落させて療養に入っているものにとっては、主導してくださるのは明らかに看護師さんのほう。眼の病気で療養しているのにシップを貼ってくれるし、シャワー室の予約を取ってくれるし、食事を準備してくれるし、後日シャンプーも解禁になった日には美容室にあるようなシャンプー台で頭も洗ってくれる。ほかの病室でおじいちゃんの陽気な患者さんが「いやー、ありがたいねえ、極楽だよぉ」と叫んでおられましたが、本当に同じ気持ちです。看護師さん、マジ人として素晴らしすぎる、と実感した入院期間でした。