黄斑円孔入院記(6)

黄斑円孔

出産以外は入院経験のなかった、50代会社員事務職が
オウハンエンコウという眼の病気にかかった時の話です。
手術が終わり、2週間予定の入院生活がはじまりました

うつぶせ生活はじまる

手術で、眼球内の硝子体という物質を取り去ったので、かわりにガスを注入した私の左眼。これからはそのガスがうまく眼球の底にあるはがれかかった網膜の部分に当たって「圧」がかかるようにしないといけません。そのために手術後は後頭部を天井に向ける姿勢=「うつぶせ」でいないといけないのです。
正直、「眼球内の硝子体を切除する」という超近代的な印象の施術をしたあとに、姿勢によって圧をコントロールするなんて、またずいぶんと原始的になりますねえ、と思いましたが、先生いわく「手術そのものよりも、ここからがキモなので頑張ってください」とのことでした。

手術直後は万一に備えて点滴がつながっています。また、左眼は眼帯をしているものの、右眼は正常なので、いつも通りコンタクトレンズをつけて視力を確保することができます。ただ、きちんと物を見ようとすると自然と左眼も見開くようなかっこうになり、そうすると手術直後の縫ったところがつれる感じでチクっと痛みます。そんな環境なので、あまり視覚を駆使する気持ちにならず、結局両目をつぶってベットでうつぶせ寝の体勢に。ベッドに顔があたらないようにU字型のウレタンのような枕をもらっているのですが、Uの字がおでこの同じ部分に当たるのでこれはゆくゆく凝りそう。そしてやはり息苦しい・・・初日にして「これは今後結構キツイぞ」と感じざるを得ませんでした。

手術翌日

あれっ!これはうつ伏せではないのでは?!という姿勢で明け方、目が覚めました。
慌てて姿勢を整えてうつらうつらしていると、7時ごろ、朝の検温のために看護師さんがやってきました。手術した眼に痛みはなく、調子も悪くはないものの、ずっと寝てたので起き上がるとふらつく感じが気持ち悪かったです。また、おでこにあてたU字ウレタンによる圧痛も少々。授業中自分の腕を枕にして寝ていると、次第におでこのあたりに痛みが出ませんか?それと同じです。

8時、入院患者のみの診察室で診察。私と同じ日に手術をされた方が多かったようで、診察室の前には10人ぐらい並んでいました。流れ作業のように眼帯を取ります。左眼の視界は、プールの中でゴーグルなしで目を開けたときのよう。涙目の極端な感じで全体がぼやけていてよく見えません。これが眼球内に入れたガス越しの見え方で、このガスがだんだんなくなっていくにつれ視界ははっきりし、と同時にガスがなくなったところではじめて、圧がきちんとかかって、はがれかけた網膜が復旧しているかの判断をつけることが出来るとのことです。つまり、視界がはっきりしてくるまでは、今回の手術が成功したかどうかは分からないということです。

9時、前日の執刀医の先生による診察。術式自体はうまくできたとのことでした。

ベッドに戻って、薬剤師さんから、目薬をもらって説明をうけると、ほどなくお昼ご飯。眼科なのでご飯は通常食です。勝手に抱いていた病院食のイメージとは違って、普通に味がついていて、美味しかったです。食事の時ぐらいはOKです、ということで、食事は顔をあげて普通に食べました。ただ、それ以外の時に飲み物を飲むのも、なるべくならうつ伏せになっていてください、ということだったので、ペットボトルのお茶とストローは必需品です。ああ・・ホットコーヒーが飲みたい・・・

既にうつ伏せ(とはいえU字クッションと呼吸確保のため、反り腰姿勢で寝ている)と、下向き生活の影響で、首のうしろと腰が筋肉痛です。

午後、外来と同じ診察室で視力などの検査。その後、研修医くん(手術の時に執刀医さんの横で勉強していた院生?大学生?)の診察。

手術翌日なので検査や診察多めでしたが、大きい病院ならではの、いろんなスタッフさんがそれぞれ自分の職務を遂行して患者(自分)のケアをしてくれる、という「チーム」を感じた日でした。

目薬15分おき3種攻撃

意外に日中の用事の多くを占めていたのが、目薬をさす、というミッション(おおげさ)です。

手術後の感染防止やその他で、私には3種類の目薬が処方されました。ひとつは1日2回(9時・15時)、二つ目は1日4回(9,11,15,18時)、3つ目も1日4回。それぞれの目薬は5分間をあけてさすように、という指示でした。さらに、朝の診察前に瞳孔を開くため、起床後6:30、6:45、7:00にそれ用の目薬をさします。
この5分おきっていうのが曲者で、ついつい忘れるし、どうかすると「あれ、さしてないのどれだっけ」となってしまうんですねー。(馬鹿なのか??)なので、スマホのアラームを9,12,15,18時にセットするのはもちろん、1本目の目薬をさしたらタイマーセット。そして、さした目薬は机のあっち側によけておく、などしてました。退院後もこの目薬投薬は続いたので、薬の袋にマス目を書いて、さしたものにはチェックマーク入れたりしました。いや、ほんと馬鹿なんじゃないの?と思われるでしょうが、似たような見た目の薬で、錠剤のように1回分ずつ分けておくことが出来ないとなると、見事なぐらい、わかんなくなるんですよ、、、、。